2010年10月5日火曜日

京都OHBL奥田浩子のBeauty Memories      ” 蜜月の臨月”



ある年の3月1日から、
4月1日までの一ヶ月間は
まったく仕事は何もせず、
社会人になってから、
はじめての長い休暇をとった。

毎日お昼頃に起きては、
朝と昼をかねて、
ゆっくりと食事をし、
時には映画をみたり、
時には散歩をしたり、
時には本を読み、
時には買い物にでかけ、
時には何もせず、
だらだらと、
一日中家にいたりした。

夜中に夜の街をドライブに出かけ
気分をかえて、
北山を走ったり、
嵯峨野に行ったり、
東山を走ったり。

眠る時には、
毎日心臓の鼓動を
三人分、平行に並べて。

そして、一ヶ月の間
一度も自分で、自分の背中を
洗うことはなかった。

ある年の4月1日、
蜜月の甘い蜜を
十分に吸った女の子が
私の中から、解き放たれた。

思い出すと、
いつも、
胸が、じんとして、
いつも、
心が、満たされる、
こんな蜜月を、
きっと、もう、
あじわうことはないだろう。

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