2010年12月1日水曜日

京都OHBL奥田浩子のBeauty Memories       “ 今、この場所 ”



実家を離れて、
はじめての暮らしは、
“やなぎえいさく方 D号室”から、
はじまった。

お風呂なしの
家賃は2万円。

やなぎ老夫妻の
家の敷地内にある
2階建て6棟の部屋のひとつで
Aから、Fまでの部屋番号がついており、
私は2階のD号室。

最寄り駅は
代々木上原で
表参道の職場に
とても便利な場所であった。

今はわからないが、
当時は,
庶民的な商店街があり、
また、
すぐ近くには
有名人の豪邸もあるような
そんな街だったように
記憶している。

仕事が忙しく、
寝に帰るだけのような毎日で、
今思えば、
20代前半の女の子が住むには
かなりきびしい部屋だったように思うが
とくに不満もなく、
とにかく必死で、
東京になじもうとしていた
そんな
日々だったように思う。

当時の思い出で
他の部屋に住んでいた
デザイナーをめざしている
中国人の女の子と
一階と二階をつなぐ
階段に腰掛けて
缶ビールを飲んだ事があった。

その階段は
とても薄暗かったけれど
見上げると
東京の
キラキラ輝く
街のライトが
様々な角度で
冬空に舞っていた。

いつかきっと、
あのキラキラに
たどり着こう。


その後、
独立してからは
住居と仕事場が
一緒になったり、
離れたり、
ひたすら仕事のために
場所を転々として
今回で
8回目の引っ越しだ。


2010年、12月1日。

今、
京都で
一番熱いといわれる
四条烏丸に
オーヴルビューティーアカデミーを
オープンした。


ジャンプも
スキップも
しない。

ステップを
ふむのだ。

今までと同様
ステップを
ふんでいくのだ。


薄暗かったからこそ
キラキラを
夢見た。

“やなぎえいさく方 D号室”
があったからこそ、

“ 今、この場所 ”
があるのだ。