2017年2月8日水曜日

京都OHBL奥田浩子のBeauty Memories     ”風の音をきく、 そして、のる”



26年ほど講師を務めたフィニッシングスクールの新年会は、
毎年1月の終わり頃に、大阪北新地の老舗イタリアンレストランで、
行われる。
かつて校長だった方は、ひとときタレントとしても大活躍された
素敵な女性である。
その日もシンプルで上質なニットに、ベレー帽を斜めにかぶった
出で立ちで、美しく繊細な指先には、今もかわらず、
エッジの効いたデザインネイルがほどこされている。
以前は、全国展開していたこのフィニッシングスクールで、
私は、カラー、ヘア、メイクの授業を担当していたのであるが、
講師としても、実にたくさんの事を学ばせていただいた。
参加したメンバーが現況報告を次々に話した後、
いつもの校長のちょっと辛口で、けれども温かく、
ユーモアたっぷりなお話しがあり、今年は最後に、
「80歳を過ぎてね、ストンとなにかがおちた気がして、
とっても楽になったのよ。」と、仰った。

さて、恒例の今春シーズンレッスンのテーマは、
「花×ツヤメイク」である。
花のもつみずみずしい生命力を感じるツヤ肌づくりを、
徹底的に伝授するつもりだ。
今、メイクにおける肌のつくり方は、とてつもなく変化している。
軽いだけではなく、キラキラ感でもない、
究極のツヤ感をつくるために、
今までのテクニックとはまったくちがう、
新しいテクニックでレッスンするつもりである。
毎年とりいれるトレンド感ではない、
基本として続けてきたテクニックを一新する、
その時が、やってきたのだ。

新年会のあと、また来年もお会いしましょうとあいさつをして、
一人、駅までの道を歩く。
冬の寒空の中、風の吹いた音がした。
少しずつ感じていた風が、
本格的に“ひゅう~”と音をして、吹いてきた。
この風に、今は逆らわない、追い風もしない。
ちょっぴりせつなさはあるものの、
大きく深呼吸して、気持ちよく、のりたい風だ。

私にもいつか、誰もが認める、いいや、
まずは自分自身が納得のいく「なにか」がおちて、
楽になる時がくるのだろうか。

そんな時がおとずれるまで、
今はまだ、風の音をきき、風に、のる。
できれば、美容という名の、ちょっとかっこいい
サーフボードで波乗りをするように、
風をつかんで、風に、のるのだ。